不動産相続の税金対策で活用したい控除

相続税の税金対策では控除を活用する方法があります。基本的な控除と控除以外の方法に分けられ、各々の条件は同じではありません。

・相続税の基礎控除

相続税額の計算において、まず基礎控除が適用されます。基礎控除額は以下の式で求めることができます。

基礎控除額＝3,000万円＋（600万円×法定相続人の人数）

基礎控除はすべての相続に適用されます。そのため、基礎控除額が相続額を上回っているケースでは相続税が発生しないのです。また、法定相続人の人数が多いほど基礎控除額も増えます。そのため、人によっては養子を迎え入れるなどして法定相続人を増やし、基礎控除額を増大させるという節税方法も可能です。ただし、法定相続人の人数は上限が定められているため、無限に基礎控除額を増やせるわけではありません。

・相続した建物を売却する場合に適用可能な特別控除

相続した建物を売却する際には、特別控除を利用する方法もあります。特別控除とは、「居住目的の建物」を売却する際に3,000万円の控除を受けられる制度です。例えば、相続した建物に一定期間居住してから売却すれば控除が適用されます。また、空き家を相続した場合も一定の条件を満たすと控除を受けることが可能です。適用される控除額が高額なので効果的な節税対策といえます。

・生前贈与による控除

生前から行える相続税の節税対策として、生前贈与を活用する方法も挙げられます。生前贈与とは、保有している財産を生前に他者へ贈与することで、年間110万円までは贈与税が非課税となる制度を活用します。早い時期から少しずつ子どもへ贈与を行っていくという親も少なくありません。ただし、この方法は現金など分割が可能な財産に限定されるでしょう。分割が難しい土地や建物などの不動産は、先に売却してから生前贈与することを推奨します。

寄付することも選択肢の一つ

不動産を相続したが特に使い道がない場合や故人が生前に寄付を望んでいた場合、相続した不動産を寄付することも可能です。国や自治体、公益団体などに寄付すると相続税が非課税になるので節税対策となります。ただし、不動産現物では寄付を受け付けないことも多いので、売却してから現金を寄付するほうが無難です。

最適な方法で節税対策を行うのは難しい

最適な方法で相続税の節税対策を行うためには、各々の控除の適用条件などを把握することが重要なポイントです。しかし、専門知識を持っていない状態でやみくもに対策を行うと、相続税法に抵触してしまうリスクも考えられます。専門的な知識を持つ税理士や不動産会社などへ協力を仰ぎ、法律の範囲内で適切な節税対策を講じましょう。